専門コラム「指揮官の決断」
第445回少子化対策について

ネット上の批判
こども家庭庁の年間予算役7兆円が無駄だという指摘があります。
その根拠が、成果が見えないということであり、その予算が何に使われれているのかがよく分からないということなのです。
予算の使い方については会計検査院が毎年検査をしており、本当に政策目的を達していないのであれば、会計検査院が国会に報告するはずです。
会計検査院は、その政策目的そのものには疑義を表しません。それは国会で議論すべき問題であるからです。検査院は、政策目的を是としたうえで、その目的達成のために予算が正しく使われているかをチェックしています。その検査院の報告書を見れば、会計検査の結果が分かります。事前には予算書を見ればわかりますし、事後的には決算委員会に提出される資料を読めば分かりますし、1年後でよければ会計検査院の報告を読めばわかります。
そのような作業をせずに使途不明という指摘は見当はずれです。
ネット上でのこども家庭庁に対する批判のほとんどはそのレベルです。
成果が見えないという指摘
一方、成果が見えないという指摘がありますが、これについては明白な間違いであると反論できます。
2023年にこども家庭庁ができる前は少子化担当大臣が置かれていました。少子化対策担当大臣の職務を引き継いだのがこども家庭庁です。
実はこの新しい省庁に「家庭」の文字がはいったばかりにこの省庁の予算の使い方が面倒なものになっていることは否めません。
このため、成果が見えないという批判が出てくるのは仕方ないかと考えています。
しかし、同庁のウェブサイトを見るに、少子化担当大臣の職務を引き継いでいることは明白ですので、その意味からすると、同庁は見事に政策目的を達成しています。
政府が掲げているのは何か考えよ
考えてもみてください。
政府が掲げているのは、「少子化対策」ですよ。
「少子化問題対策」ではないのです。
つまり、少子化が問題なので何とかしようという対策ではないのです。
逆に、いかに少子化を進めるかという対策が彼らの政策目的となります。少子化対策ですからね。
その観点から言うと、見事に目的を達しているので、成果が見えないという批判は見当違いです。
このように書くと、イージスは少子化が望ましいと考えていると批判する〇×が必ず現れますので、ここでもう一度総括しておきます。
弊社は危機管理の専門コラムとして組織論に立脚しつつ、「意思決定」「リーダーシップ」として「プロトコール」の三つの観点から議論を展開しており、今回は意思決定の立場から言うとこども家庭庁は政策目的を達成していると言っているにすぎません。
そのことがいいか、悪いかという判断はしていません。
また、「少子化対策」という政策目的を掲げる同庁および少子化対策担当大臣という大臣を置いてきた自民党の〇×さ加減は議論していません。こいつらの〇×さ加減について言い始めたらきりがありませんし、当コラムの品位をこれ以上汚したくありません。編成権トップの下品な生き物だけで結構です。
ここまで説明しても、当コラムが少子化を是としていると考える〇×は必ず現れます。
それがSNSです。