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専門コラム「指揮官の決断」

第482回 

言葉 その2

カテゴリ:他

承 前

前回、メディアや政治家の使う言葉に疑問を呈しましたが、今回はその続きです。

なぜ言葉に拘るかと言えば、それが意思の表明だからです。

人を信じたり、評価したりする基準は様々です。

女性は、顔立ちやスタイルで評価されることが多く、ビューティーコンテストなどはその典型でしょう。

しかし、それだけではなく、男性と同じ基準で評価され、その実力が認められている女性も数多くいます。

様々な企業、官庁などでもそのような女性の進出は目覚ましく、筆者が在籍していた自衛隊でもルックスではなく、艦艇の操艦能力、部下を統率していくリーダーシップ能力、戦略立案能力が評価され、それなりの地位にいる女性も数多くいます。

未だにメディアでは、女性差別を訴える女性もいますが、それらの女性は、女性としての評価に耐えず、話を聞いていても、頭の程度もお話にならないという傾向がうかがえるように思われます。

ただ、男女を問わず、人が評価されるとき、その人の言動というのは、大きな要素になることは事実であろうと思料いたします。

言葉と行動が一致せず、言葉も中身がなく、その場その場で変わっていくような人は評価されにくいかと思われ、それが一国のリーダーであれば、なおさら評価できません。

政治家の言葉、再び

首相や各省大臣の発言でよく聞くのは「仮定のご質問にはお答えできない」というセリフです。

この発言を聞くたびに、筆者は「こいつはバカか」と思います。

様々な情勢を想定して、それに備えるのが彼らの仕事でしょう。

国交省大臣に、南海トラフに起因する大規模地震津波対策や富士山噴火にどう対応するのかを訊くのは当たり前です。

農水大臣に、異常気候が続いた場合の、米の収穫や魚介類の水上げに関する対策を尋ねるも不思議ではありません。

それらを仮定の問題として、応えないというのは責任の放棄です。

自衛隊なら、どう攻められたら、どう戦うということは、まったくの仮定の問題ですが、指揮官としては対策が当然に腹の中にあり、しかし、それを尋ねられて答えるかと言えば、そうはしません。それは「仮定の問題」だからではなく、作戦を有利に進めるために必要だからです。したがって、仮定の問題にはお答えできない、という回答はせずに、「それは秘密です」と答えるでしょう。

石破元首相が、トランプ大統領に初めて会いに行ったとき、記者からあることを質問をされて、「日本では、一般にそのような仮定の質問にはお答えできない、と答えることになっている」と発言して、トランプ大統領から「彼は政治家として、言うべきことを分かっている」と評されて、ニコニコしていましたが、トランプ大統領のリップサービスであり、内心は「こいつ何をバカを言ってるんだ」という思いが分からなかったのでしょう。

適切に対処してまいります

また、政治家や官僚の回答によくある「適切に対処してまいります」という発言があると、記者はそれで黙ってしまいますが、これが何の答えにもなっていないことを両者とも分かっていないようです。

「適切に対処していく」というのは当たり前で、「どうやったら適切に対応できるのか、よく分からないんですよね」というような発言をする大臣や官僚がいたら、本当のバカです。

適切かどうかは、本人ではなく、相手や第三者が評価するものであり、どう適切に対処するのかを訊きたいのに、「適切に対処する」では答えになっていません。答えになっていないことがメディアは理解できないのでしょう。

そこで、質問が途切れてしまいます。

まとめ

今回は記者会見などで、政治家や官僚がよく使う二つの表現について言及しました。

この表現をする政治家や官僚、その答えを聞いて黙っているメディア、双方ともに交わされている言葉の意味を理解できていません。

この程度のやりとりしかできないメディアの取材力は底が知れますし、その底の知れたメディア相手に、意味のない発言を平気で繰り返す政治家も底が知れます。

その両者を弄ぶ官僚たちの狡賢さも目立ちます。 

 

                               Photo:毎日新聞