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専門コラム「指揮官の決断」 

No.119 韓国海軍艦艇射撃管制用レーダー照射事案の真相は?

はじめに

 当コラムは危機管理専門コラムなので、これまで安全保障問題を取り上げることはありませんでした。軍隊や自衛隊を話題としたことはありますが、安全保障の問題として取り上げたものではありません。
 もともとクライシスマネジメントは安全保障論上の議論だったのですが、危機管理の実務としては次元が異なる議論だからです。
 
 執筆者が危機管理の専門家であって安全保障の専門家ではないという立場から、専門外の議論を避けてきたこと、元自衛官として守秘義務に縛られているので語ることのできないことが多々あること、元自衛官の発言ということで、一部だけを切り取られて引用されると本意と異なる内容となることがあることなどから議論を控えていたという事情もあります。
 
 しかしながら、昨年末に生起した韓国海軍艦艇による射撃管制用レーダー照射事案とその後の韓国政府の対応について、会う人ごとに解説を求められるので、今回は当コラムで論点を整理したいと思います。
 
 実は私は海上自衛隊の初任幹部の頃、護衛艦のミサイル射撃担当の砲術士として射撃指揮装置を操作していたことがあるので、韓国艦内部において何が起きていたのかを容易に想像できるのです。

何が起こったのだろう

 まず、事実を整理します。
 昨年12月20日午後3時頃、能登半島沖の我が国の排他的経済水域(EEZ)内において、同海域の監視を行っていた海上自衛隊のP-1哨戒機が韓国海軍の艦艇から、数分間、数回に渡りレーダー波の照射を受けました。

 飛んでいたのは海上自衛隊の厚木基地をベースとする第4航空群所属の哨戒機P-1です。この哨戒機はP-3Cの後継機として日本で開発された哨戒機であり、P-3Cを圧倒的に凌ぐ優秀機です。
 
 海上自衛隊は艦艇及び航空機による周辺海域の監視を行っています。
 水上艦艇は主として宗谷海峡や対馬海峡などの海峡と尖閣諸島などの比較的限定された海域を監視し、航空機は広域の監視を行っています。
 潜水艦がどのような監視を行っているのかは申し上げることができません。
 これらの監視のエリアは米海軍とも調整が行われており、その情報についても共有されています。
 
 能登半島沖で当該艦艇が韓国海洋警察庁所属の警備艦とともにいるのを発見したP-1哨戒機が、EEZ内で海軍艦艇を視認した際の通常の活動である写真撮影を行うために周囲を旋回したところ、射撃管制用レーダーの照射を数回に渡り受けたため、国際的な取極めにより指定されているVHF緊急周波数、国際VHF及びUHF緊急周波数でそれぞれ2回、計6回、照射の意図を確認したものの応答がありませんでした。
 このような場合、偶発的な事故を防ぐために、高度150m、距離500m以内に近づかないことが国際的に了解されており、海上自衛隊機はそれに従ったと発表されています。

国籍不明の武装船舶?

 ここで何が問題なのかというと、まず、韓国の駆逐艦に国籍を示す旗が揚げられていないことです。
 
 これは防衛省に確認しないと分からないのですが、写真からは軍艦旗が確認できません。
 船舶は公海上では国籍を示す旗を掲げることが義務付けられています。
 公海上で武装した国籍不明の船舶が民間の小型船舶に近寄っているということは、国際法上は海賊行為が行われていると見做すべきで、国際法上これを取り締まる権限が海軍には与えられています。

 国際法上、軍艦は一国の軍事組織に属する船舶であり、その国の軍艦であることを示す外部標識を掲げ、政府によって任命され士官名簿に名前が記載されている士官によって指揮され、その乗組員が海軍の規律に従っていることが必要です。
 つまり、軍艦旗を掲げていない場合、軍艦とは見做されないのです。
 逆に砕氷艦「しらせ」は国際法上の軍艦です。「しらせ」が掲げているのは日の丸ではなく、自衛艦旗なのです。

 先に韓国が国際観艦式に海上自衛隊に対して自衛艦旗ではなく日の丸を掲げよと要求した際に海上自衛隊が応じることができなかったのは、海上自衛隊の護衛艦は国籍を示す外部標識として日の丸ではなく自衛艦旗を登録しているからだったのです。

 いずれにせよ軍艦が軍艦旗を掲げないということは常識的にあり得ないことなので当初は軍艦旗が楊旗線(旗をマストに掲揚するために使用するロープ)に絡まっているのではないかと考えました。
 確かに韓国艦は通常の軍艦が軍艦旗を掲げるように艦尾には掲げていません。
 しかし、この船はヘリコプターを搭載しているので、飛行作業を実施中は艦尾に軍艦旗があると危険なため、これをマストに移すことはよくあることです。
 ところがマストにもそれが見えません
 
 そこで、動画が公表された際に、これを拡大して何度も見ました。すると、一瞬だけ白いものがマストの一番上に見ることができます。これがひょっとすると軍艦旗かもしれないのですが、いくらマストの上に掲げるにしてもその位置が高すぎるのです。
 海上自衛隊の護衛艦がマストに自衛艦旗を掲げた場合、そこまで高い位置に掲揚することはできません。また、通常掲げる軍艦旗にしては小さすぎるように見えます。 

 しかし、動画が公表された際、海自機が”Korean Naval Ship Hull Number 971(艦番号971の韓国海軍艦艇)”と呼びかけているのが気になりました。
 もし軍艦旗が掲揚されていないのであれば、「国籍を示す旗を掲げよ。」と要求するのが先だからです。
 私が機長ならばまず「当機の近傍にいる国籍不明の武装船舶 国籍を示す旗を掲げよ」と要求したところです。
 ひょっとすると搭乗員からは軍艦旗が確認できていたのかもしれません。あるいは、この海自機の機長が私よりも礼節をわきまえており、いくら何でもそれは韓国海軍に失礼だろうということで「韓国海軍艦艇」とコールしているのかもしれないと考えました。
 したがって、韓国艦が軍艦旗を掲げていたかどうかは防衛省に確認しなければ何とも申し上げることができません。

 実はこの件に関し、当初私はマストのトップに一瞬だけ確認できる白いものは軍艦旗ではないだろうと考えていました。先に申しあげたとおり位置が高すぎるのと小さすぎるからです。
 ところが、海上自衛隊OBの知人から、どうも軍艦旗は掲げられていたらしいという情報がもたらされ、これは防衛省に確認しなければ分からないので判断を保留せざるを得ません。

 もし掲げていたにもかかわらず、海自機が問いかけた際に楊旗線に旗が絡まっていたのであれば、これは掲げていたとは見做されません。
 第一次大戦で、ドイツの武装商船が軍艦旗をマストに縛っておき、中立国の旗を掲げて輸送船に近づいて、いきなりマストの軍艦旗をはためかせるということを行っていましたが、これと同じだからです。
 したがって船乗りは旗がマストや楊旗線に絡まっていないかを常に気にしています。

 いずれにせよ、海自機は国籍を問題とはせずに韓国海軍の艦艇として対応しています。
 つまり、友好国海軍として扱っているのです。

 しかし、韓国艦は海自機からのコンタクトがある前にいきなり射撃管制用レーダーを照射しています。
 韓国国防省は、北朝鮮の遭難漁船救助という人道的作戦を妨害したと非難していますが、そうであれば韓国艦は「船舶の救助作業中である。」という国際信号旗を掲げ、その上で艦側から、「救難活動を実施中である。邪魔をするな」という連絡をしなければなりません。
 国際信号旗で「C」「R」と綴れば、救助活動実施中だと上空からも分かるのですが、その信号旗が掲げられていない以上、上空の海自機から見れば、我が国の排他的経済水域内で小型の不審船と怪しげな取引をしているようにしか見えないのです。
 この国際信号旗は写真でも動画でもまったく確認できません。掲げていないのです。
 
 国際信号を掲げず、また、海自機の無線による問いかけにも応じず、いきなり射撃管制用レーダーを浴びせかける理由は理解しづらいところです。

韓国海軍艦艇の射撃指揮装置の使用は妥当

 韓国艦が韓国国防省の発表のように事態を認識していたのであるとすれば、射撃管制用レーダーを使用して海自機に狙いを定めるという行為は必ずしも間違いではありません。
 お断りしておきますが、韓国艦艇の立場から事態を見ればということです。

 もしテレビで元海上自衛隊の高官がそのような言い方をすると、前提条件のところだけカットされて、「日本の提督ですら韓国が正しいと言っている。」と言われてしまうので、彼らは慎重にこの件については言及を避けていますが、実はもし韓国海軍がそのように事態を把握したのであれば(つまり、海自機が威嚇するように危険な低高度で船の上を通過したのであれば)、その射撃指揮装置を海自機に向けることは韓国の軍艦から見ると適法な措置です。
 ただし、常識的にはその場合、接近する航空機に対して警告を与えるのが標準的な手続きです。つまり、「本艦から離れよ、さもなければ撃墜する。」と警告すべきなのです。
 
 これは航空自衛隊も日常的に行っていることです。
 日本の防空識別圏に近づく他国の軍用機に対し、航空自衛隊は対領空侵犯措置として戦闘機を発進させ、「日本の防空識別圏に近づいている、進路を変えよ」と要求し、従わない軍用機に対しては後方に回って射撃の態勢を取っています。
 かつて、一度だけ、警告射撃を行ったこともあります。

 要するに、海自機が威嚇的で危険な飛行を繰り返したのであれば、射撃管制用レーダーを使っても非難されることはないので、堂々と海自機が非常識な飛行をしたので自衛の措置として射撃指揮装置を準備したと主張すればいいのです。
 苦しい言い訳をする必要はありません。

そもそも射撃管制用レーダーとは?

 
 当初、韓国は視界不良のため、遭難漁船の捜索のために同レーダーを使用していたとの説明を行いましたが、これは滑稽を通り越して意味不明な説明です。

 軍艦が搭載しているレーダーには二種類あります。
 捜索用レーダーと射撃指揮用レーダーです。
 
 捜索用レーダーというものは、基本的には商船や漁船、あるいは航空機に装備されているレーダー、または空港のタワーで使っているレーダーと同じです。
 お盆のようなアンテナがくるくる回っているのをご覧になったことのある方も多いかと思いますが、それが捜索用レーダーです。
 全周あるいはある一定の方向に放射状にレーダー波を出して跳ね返ってくる電波で何らかの物体がそこにあることが分かるのです。この場合、距離はかなり正確に分かりますが、方位は若干の誤差を含みます。

 一方の射撃管制用レーダーはまったく異なる作動原理で動いています。
 大砲や機関砲を撃ったり、ミサイルを発射したりするためには目標の動きを正確に把握しなければなりません。
 つまり、目標の方位、距離を正確に把握するために、その目標に対してビームのような電波を照射し続け、その動きを継続的に観測しなければならないのです。
 
 捜索用レーダーは、どこにいるか分からない目標を探知するために広い範囲に放射状に電波を照射するのに対し、射撃指揮装置のレーダーは指示された目標の動きを正確に追尾するためにピンポイントで電波を照射するのです。
 つまり、この射撃管制用レーダーでは捜索はできないのです。
 目標を指示してやらなければならないからです。 

 それではどうやって射撃管制用レーダーが目標を掴むのかというと、まず捜索用レーダーで目標の位置を掴むと、その情報を射撃管制用レーダーに送り、射撃管制用レーダーのビームをそちらに向けてやるという作業をするのです。
 それを「目標移管」といいます。
 ろうそくで照らして見つけたものにスポットライトを向けてやるようなものです。
 視界不良だったので射撃管制用レーダーで捜索していたということは常識的にはありえないことです。
 射撃管制用レーダーは、目標の位置が分からなければ使えないのです。
 
 しかし、韓国国防省はレーダー波の照射はしていないと主張しつつ、海自機が危険な高度で近付いたことに謝罪を求めており、それは矛盾した主張でしかありません。
 
 繰り返しますが、海自機の行動が韓国の主張するとおりであるのならば、射撃指揮装置を起動するのは当然の措置だからです。また、艦内の戦闘指揮所で海自機の位置、高度がプロットされ、それがデータとして残されるはずです。
 しかし海自機に対する警告はなされていません。プロットしたデータがあるのであれば、あの10秒程度の映像ではなく、そのプロット図を出せばいいのです。
 それが出せないということは海自機がそういう行動を取っておらず、戦闘指揮所がプロットする必要を認めていなかったということです。 
 

なぜ無線の呼びかけに応答しなかったのだろう

 韓国国防省は、海上自衛隊機の無線による呼びかけが電波の状態が悪く、かつ英語が下手なので聞き取れなかったと主張しています。
 
 この無線での呼びかけは三種類の周波数で行われました。
 特に国際VHFは商船やヨットでも積んでおり、常時モニターすることが義務付けられているものであり、視界内にあってこの無線のどれも聞き取れなかったというのであれば、どのような無線機を積んでいたのかということになります。
 
 私は韓国海軍将兵の英語力を知っていますが、とっさにこの問いかけに応ずることができなかったということは十分考えられます。
 海自機の呼びかけの英語はたしかにネイティブスピーカーのようには聞こえませんが、国際交話として十分な英語であり、あの程度を聞き取れないのであれば、海軍艦艇として領海の外に出るべきではありません。
  

韓国艦の中で何が起きていたのか

 今月4日、韓国国防省は日本の主張に反論するための映像を公表しましたが、海自機が危険な低空飛行をしておらず、距離も相当の距離を取って飛行していることが明らかな映像でした。
 
 韓国がこの映像で日本政府の主張が正しいことを証明しようとしているのではないことは明らかです。
 少なくとも韓国海軍はあの映像で日本を論破できると考えるほど素人ではありませんし、それで押し切ろうとするほど恥知らずでもありません。
 私は韓国海軍の士官を何人も知っていますが、皆、それなりに教養があり、誇りを持っています。
 私が海上自衛隊幹部学校指揮幕僚課程の学生だったとき韓国海軍から留学して来ていた同期生とはよく飲みに出かけましたが、その席で「オイ、竹島はどうするつもりなんだよ?」と持ちかけると、「あんなのが真ん中にあるから面倒くさいことになるんで、日韓で艦砲射撃の訓練をやって沈めてしまいましょう!」などと平気で言うような士官でした。
 また、同じ幹部学校高級課程の同期の留学生は北朝鮮海軍艦艇との実戦経験があり、最後には相手を体当たりで撃沈した戦歴を持っていましたが、極めて慎み深い士官で、彼がその戦闘を戦った艦長であったことを私たちが知ったのは入校してから半年も経ってからのことでした。
 このような士官が韓国海軍には少なくありません。
 
 私は、軍艦旗が掲げられていたかどうかは判断できませんが、その他の事情については推察することができます。
 
 ことの真相は、周辺を飛行する海自機に苛立った担当者が規定を無視して嫌がらせのために射撃管制用レーダーを向けたか、あるいは射撃指揮装置についている光学照準のカメラで海自機を見ようとして何らかの誤操作で電波が出てしまった、という程度のことなのではないかと思います。
 やんちゃな奴はどこにもいます。
 韓国海軍の意思ではないでしょうし、艦長すら知らなかったかもしれません。
 なぜなら、救難作業を実施していたのであれば、艦長は戦闘指揮所ではなく艦橋にいたはずですが、射撃指揮装置は戦闘指揮所でコントロールするからです。
 
 しかし、海自機から問い合わせを受け、どう答えていいか分からずに沈黙してしまったために問題が大きくなったということです。
 つまり、現場で「ゴメン、うちのミス。間違って電波を出した。他意はない。遭難漁船を救助中なので見ててくれないか。」くらいの連絡があれば何ら問題がなかった事案かもしれません。
 ところが沈黙して応答しなかったため海上自衛隊としても問題視せざるを得なかったのでしょう。
 当然、報告を受けて当局間で意見交換が行われますが、その際、外交ルートで日本に対して公表はしないでくれと申し入れたにもかかわらず日本政府が公表してしまったので韓国の政権は後に引けなくなったのでしょう。
 現下の情勢で、政権として日本に頭を下げるなどということなど到底できるはずはありません。
 そこで、破れかぶれかぶれになって、子供でももっとましなウソをつくだろうという論理を振りかざしているのだと思われます。
 
 先に反論の映像を8か国語で掲載し直すと発表した国防省報道官が、こうなったら当局者協議により客観的な証拠により議論をするしかないとコメントしています。 
 
 これはひょっとすると韓国側のシグナルかもしれません。
 
 現在、韓国は国内的には対日強硬姿勢を見せつつ、日本に対しあらゆるチャンネルで事態打開のための調整をかけているはずです。
 また米国にも調整を要請していることでしょう。米国には韓国のために働く強力なロビーストが何人もいます。
 新たに6か国語を追加して公表するなどということは、有力な証拠も提示できず、また日本や米国との調整に時間がかかっている政権の国民に対する時間稼ぎでしょう。
 レーダーの電子データを扱う協議となれば秘密裏に行うことになります。韓国国民の目の届かないところで落しどころを協議させてくれという悲鳴のようにも聞こえるのです。
 
 韓国が恐れるのは日本が国連安全保障理事会に諮ることです。
 世界中に射撃指揮装置の電波特性が知れ渡るとともに、事実が暴露されて国家が大恥をかいてしまうからです。
 公海上で軍艦旗を掲げるという常識すらないという笑いものにされてしまうのです。

政治の軍に対する優越が常に正しい結果をもたらすとは限らない

 韓国国防省の発表に関し、韓国海軍は心底参っているのではないでしょうか。
 韓国国防省における海軍の地位は陸軍に比べて恐ろしく低く、ほとんど発言権がないのかもしれません。
 まして今回原因を作ったのは海軍です。
 
 どう考えても、あの映像で反論できると韓国国防省の軍人の誰も考えていないはずです。
 つまり、押し切ることに政権が腹を決めているのでしょう。
 冷静な軍に対して政権が激昂しているのかもしれません。
 こうなるとまともな議論はできません。
 
 これはシビリアンコントロールの逆機能です。
 
 同様のことはアメリカでも起きています。
 マチス国防長官が事実上更迭されることになりましたが、この元海兵隊の将軍はシリアからの撤退に反対していました。それは、彼が中東で戦争をしたいからではなく、シリアが火種となって戦争になることを恐れ、抑止しようとしているからなのです。
 歴戦の将軍は戦いがどれだけ悲惨なものかを知っているので、戦争になることを抑止しようとしているのですが、軍隊の経験のない大統領は抑止力というものの意味を理解していないのかもしれません。
 シビリアンコントロールが常に正しいわけではないということが分かります。
 
 シビリアンコントロールとは軍に対する政治の優先を指しますが、民主的な選挙で誕生した政権が常に軍より正しい判断ができるということが証明されているわけではありません。
 むしろ、責任問題となるおそれがある場合に、政治はあっさりと恥も外聞もなくシビリアンコントロールを放棄し、軍に責任を負わせようとします。
 
 実例があります。
 
 東日本大震災における福島原発の事故への対応に際し、時の防衛大臣は「首相と私の思いを統幕長が汲んで決断してくれた。」として、原発の直上からヘリで水を撒くという自衛隊史上最も危険な任務の決定責任を制服に押し付けました。
 政治主導を掲げて政権を取った政党が、あっさりとシビリアンコントロールまで放棄したのです。
 
 政治というものはその程度のものなのでしょう。
 私は政治も政治家も嫌いですし、我が国の民主主義などまったく信じていません。
 韓国海軍も政治家に翻弄されているのかもしれません。

 私の同期生たちはすでに退役していますが、彼らがどんな思いをしているのかと考えると、韓国海軍が気の毒なような気もします。
(写真:防衛省撮影)

(追記)
 本稿は2019年1月9日に掲載したものを同年1月10日に加筆修正したものです。
 なお、記事中に「防衛省に確認しなければ分からない」という記述をしていますが、防衛省に本件で確認する予定はありません。
 私は海上自衛隊のOBではありますが、海上自衛隊は防衛省が公表した動画以上のコメントをしないことを知っていますし、OBとして海上自衛隊から情報をとるということをすることも控えています。
 この点につき、ご理解を賜りたく存じます。