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専門コラム「指揮官の決断」

第426回 

危機管理の視座

カテゴリ:危機管理

YouTubeの配信を始めました

弊社では最近、YouTubeでの配信を行いました。

これがいつまで続くのか心許ないところではありますが、少しでも多くの方々に危機管理の概念を正しく理解していただき、同時に、図上演習という魔法のように便利な手法を身につけて頂くためには、弊社ウェブサイトのコラムだけではだめだという結論に達した結果です。

特に筆者が危機感を持っているのが、この国では危機管理というマネジメントがその概念すら誤って理解されていることです。

概念の理解が誤っていれば、実体を正しく理解できず、その結果、この国では危機管理がまともに行われないということになってしまいます。

このことは、ことあるごとに主張し、当コラムでもうんざりするほどのページ数を費やしてきました。

 

危機管理の概念が理解され始めたかもしれない

ただ、最近は少しずつ理解されてきているという兆候が見て取れます。

昨年の3月ころ、筆者は初めてChatGPTに触れましたが、この時は話になりませんでした。AIが話題になり始めており、ChatGPTが日本語でも使えるようになって1年近くたっていました。

筆者がそれまで手を出していなかったのには理由がありました。

実は1995年、Windows95が発表されたころ、筆者はPCで使えるAIに関心を持っていました。当時は、まだソフトがフロッピーディスクで供給されており、1.4MB程度の大きさでしたので、AIと言っても大したことができるわけではなく、簡単な推論ができる程度のものでした。

あまりにもちゃちな推論だったので愛想をつかしてしまったのですが、そのような原体験があったことが災いして、AIに手を出さなかったのです。

しかし、巷が騒いでいるので、仕方なく使ってみましたが、その結果、筆者はAIというのは、まだ人間の頭脳に遥かに及ばないなと考えました。

当時のChatGPTは3.5で、2022年1月までのデータを学習していたそうです。

そのころの日本のウェブサイトの危機管理の理解は酷いものでした。

言語生成AIは、巷のデータを学習してきますので、世間が一斉に間違っていると、正しく理解できません。

世間が天動説だと、AIは地動説を主張しないのです。

そのころ、世間はリスクマネジメントと危機管理の違いを理解していませんでした。

危機管理とリスクマネジメントの違いを理解していないどころか、逆に理解しているものもあったほどです。

例えば、中小企業庁が発行していた中小・零細企業向けの危機管理マニュアルでは、「平素からリスクマネジメントをしっかりとやっておき、何かが起きたら速やかにクライシスマネジメントに移行すべき。」と平気で記載していました。

中小企業庁は危機管理を理解していないどころか、リスクマネジメントすら理解していないのです。BCPを準備するのは平時ですが、それを発動するのは緊急事態が生じてからです。つまり、何か起きた時に実施しなければならないのはリスクマネジメントなんです。

リスクというのは、危険性であって危機ではないのですが、どちらにも「危」という文字が入っているので、同じものだと考えていたようです。

中小企業庁は理解は間違っていましたが、リスクマネジメントとクライシスマネジメントという異なるマネジメントがあることは認識していたようですから、まだいい方です。

テレビで解説しているジャーナリスト、評論家などではリスクマネジメントが危機管理だと思っている輩がうんざりいました。

ChatGPTがそれらを学習したのですから間違うはずです。

ところが、去年くらいから事情が変わってきました。

まず、中小企業庁がスタンスを変えたようです。

一般のウェブサイトでも、リスクマネジメントと危機管理がどう違うかを解説するサイトが多くなってきました。

やはりリスクマネジメントは危機管理ではないことが理解され始めた

この間、何があったのかを概観してみましょうか。

日本が大きな影響を受けたものについて言及すれば、コロナ禍とウクライナに対するロシアの侵攻、能登半島の地震災害でしょう。

ここで、リスクマネジメントが危機管理ではないと社会は気づいたようです。

つまり、あらかじめ危険性を想定して、それに備えるリスクマネジメントではコロナ禍は対応できなかったのです。

ウクライナでの戦争は、実は前年には予測できたのですが、前年末に予想できたとしても間に合いません。

能登半島の地震災害は、何年も前からその危険性が指摘されてきたにも関わらず、政権は何の対応も取ってこなかったので、大被害になってしまいました。

つまり、リスクマネジメントすらやってこなかったということです。

 

ここに至って、日本の社会はリスクマネジメントでは対応できない「危機」があるということに気付いたということでしょう。

このサイトに専門コラムを掲載して、すでに400回以上になりますが、うんざりするほど、リスクマネジメントと危機管理は別物だと主張してきました。

日本の社会がそれを薄々ながら理解してくれつつあること安ど感を覚えていますが、しかし、まだまだ手ごわい勢力が残っています。現政権与党です。

筆者に言わせれば、危機管理の概念が理解されていない状態ほど危機管理上の問題となる事態はありません。

 

危機管理の概念を整理してください

そこで、今後しばらく、この危機管理の概念についての議論を続けていきます。

この内容は、準備ができ次第、YouTubeでも配信してまいりますが、元ネタはこのコラムですし、YouTubeにはいつアップできるか分かりませんので、当コラムを愛読してくださっている方々は、これまでどおり当コラムをお読みください。

危機管理の概念の整理になるはずです。