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専門コラム「指揮官の決断」

第468回 

自衛隊差別発言について その2

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承前

前回、立憲民主党の古賀千景参議院議員の6月15日の参議院決算委員会における発言について述べました。

今回は、前回、言及しなかった隊員への差別発言そのものと、それでは自衛隊に入隊してくるのがどういう人たちなのかという議論をしてまいります。

自衛隊に入隊する若者たちについて

筆者は、かつて舞鶴において、新入隊員の教育を担当する部隊の指揮官を務めたことがあります。

つい1週間前に高校や大学を卒業してきた若者たちを迎え入れ、4カ月で気力・体力を部隊に出せる水準まで引っ張り上げ、服装や立ち振る舞いが海上自衛官らしく見えるように育てなければならないので、大変な仕事でした。

彼らが入隊してくる前に、彼らの出身県ごとに、自衛隊入隊予定の隊員たちの壮行会が開かれるので、極力それに受け入れ側として参加していました。そこで隊員たちのご両親などにお目にかかる機会がありました。

そこに出て来られているご両親を持つ新入隊員たちは、あまり心配することはありませんでした。子供さんの入隊を気にかけている親御さんだからです。

問題は、出て来ないご両親の下で育った隊員たちです。

事情は様々です。両親がいない、完全に親から無視されている、などいろいろありました。

たしかに、経済的理由で入隊してくる隊員もいます。大学に進学できるような家庭環境ではなかったので、高校を卒業して入隊してくるという隊員も多数います。

しかし、それらの事情は、警察でも海上保安庁でも、消防でも、あるいは一般の会社でも同じでしょう。ご両親が高卒の方なら、それが普通だと感じている家庭もあるかと思います。

ただ、親に育てられていない、あるいは事実上見捨てられているなどの家庭で育った隊員も、わずかながらいました。

しかし、そういう家庭的若い人たちでも、自衛隊に入隊して、4カ月の教育を受け、部隊に着任して立派な隊員になっていきます。特に、翌年、彼らの後輩が入ってくると、急に先輩風を吹かせなければならなくなり、一挙に成長していきます。

闇バイトなどに手を染めるよりも遥かにいいと思っています。自衛隊というのは、そういう社会教育機関でもあるかと考えます。

実際に、入隊式の1週間前に着隊させ、基本的な動作を教え込みます。そうしないと入隊式が様にならないからです。

そこで1週間ぶりに、入隊式にやってきたご両親がびっくりします。隊員の出身校の担任の先生や校長先生も招待していますが、自分たちが3年かけてできなかったことを海上自衛隊は、なぜ1週間でできたのか、と不思議がられます。見違えるほど、変わっているのでしょう。

職業における差別

職業による差別だという意見について、イージス翁は、発言する資格を持ちません。

翁自身が、凄まじい差別意識を持っているからです。

このコラムで何度も発言しているとおり、この翁は、政治家とメディア関係人たちが大嫌いであり、彼らに対する露骨な偏見を持っています。

もちろん、政治家やメディア関係者にも高い志を持った立派な人々がいることも承知していますが、だからと言って、彼らに対する嫌悪感が無くなるわけではありません。

例えば、ヘビが嫌いな人に、一口にヘビと言っても、毒の無い蛇もいるし、大人しく、人懐こい蛇もいるということをいくら説明しても、ヘビを好きにはならないのと同じです。

多分、立憲民主党議員たちは、口でどう言おうと、軍隊が嫌いであり、半ばアレルギーのようなものを持っているのでしょう。

立憲民主党議員の場合は、あえて申し上げれば、頭が良くないので、この国の安全保障などを考えることができないので、まともな発言を期待する方が無理なのです。

この騒ぎを受けて、元自衛官の地方議員たち数人が立憲民主党と古賀千景議員に対して、内容証明付きの質問状を送ったようです。

それを読んで、率直に思うのは、この地方議員たちは元自衛官かもしれませんが、お粗末です。

なぜなら、古賀議員の発言が、誤った内容であるということを前提とした議論をしているからです。

立憲民主党が彼女を厳重注意という処分にした理由をもう一度見てください。立憲民主党は、彼女の発言が、「誤解を与えた」と言っています。つまり、誤解を与えるような表現だったからよろしくない、という立場です。基本的な自衛隊に対する見方が誤っていたとは毛頭思っていないのです。そういう連中に、この文書は意味を持ちません。

この地方議員たちは、作戦の立て方(海上自衛隊では作戦要務と言います)を理解していないのでしょう。

議員辞職要求について

また、古賀議員に辞職を求めるべきだと言っている元自衛官がいると聞こえてきています。それも、曹士隊員だったのではなく、高級幹部だった人たちです。

筆者は、そういう連中には、自衛隊に戻って、作戦の立て方を勉強し直して来いと言いたいと考えます。発想がお粗末すぎます。

前回も指摘しましたが、議員が国会内での発言を問われて職を失うようなことはあってはならないことです。古賀議員の場合は、立憲民主党の党員の価値観を反映し、さらには支持基盤である日教組の利益を代表しています。それら有権者によって選ばれている以上、その意見は尊重すべきなのです。

自衛隊で何を学んだのか

辞任を求めてはならない理由がもう一つあります。自衛官なら、その論点に気付くべきです。

立憲民主党が、古賀議員に党籍剥奪処分や辞職勧告などをした場合、それは立憲民主党にトカゲの尻尾切りをさせることになります。

まともに作戦を考える頭があるなら、そんな真似はしません。腐った尻尾をぶら下げさせ続け、ことあるごとに「御党の古賀議員は・・・」と言い続けることができます。その結果、自分たちの失言は「撤回」すればよく、辞職を迫られることがなくなります。

ここで彼女に辞職を迫って実際に辞職すると、次の選挙で生き返ってきます。比例当選の議院ですので、組織票を持っているのが強いのです。

そして、「禊」が終わったことになってしまいます。

そんなことをさせるべきではありません。

そんなことが分からぬ元自衛官は、戦略・戦術のド素人なのでしょう。

自衛隊に行く子はどういう家庭の子なのか?

さて、話がそれましたが、自衛隊に入ってくる若者たちは、本当に経済的に苦しい家庭からだけであり、豊かな家庭からは来ないのでしょうか。

たしかに、経済的に厳しい家庭の子供もいましたが、裕福な家庭の子供もいました。

入隊の動機も様々で、経済的に苦しいから、と言って入ってくる者は、記憶にありません。

筆者がその部隊指揮官として勤務していたのは京都府の舞鶴だったためか、阪神淡路大震災の時に、自衛隊に助けられたとか、自衛隊員が懸命に救難活動をしているのを見たという若者が多く、その時から自衛隊に入ることを決めていた、という隊員が多かったと思います。その他としては、サバイバルゲームが好きで、仕事としてやってみたかったというのもいました。筆者のところは、女性新入隊員の教育はしませんでしたが、女性隊員は、制服に憧れて入隊してきた者も多数います。(制服に憧れたというのが一番多いのは海上自衛隊です)

筆者は、最初から幹部自衛官を目指すコースに入隊しましたが、そのような課程であっても、実は愛国心や国防への意識という入隊動機よりも、船に乗りたいとか、飛行機の操縦をしたい、という方が多かったように思います。

筆者にしても、海上自衛隊に入れば船に乗れると思ったからでした。もっとも海上自衛隊でも筆者はほとんど船に乗せてもらえず、防衛省での役人暮らしが長く続きましたが。

筆者の父は海上自衛官でした。古賀議員の理論では、筆者の家庭は豊かではなく、経済的に厳しかったから入隊したことになりますが、そうだったのでしょうか。

たしかに、小学生の頃、「うちは何故こんなに貧乏なんだろう」と思ったことはありましたが、よく考えると、それは母が病弱で、凄まじい額の医療費が必要だったことに原因があったようです。

しかし、その後、自衛官の息子として小学校で6回の転校を強いられ、全寮制の私立中・高等学校に入学したのですが、この学校の授業料や寮費はバカ高く、同級生は医者や海外勤務の商社マンの子供がやたら多いところで、進学した大学も赤坂にある私立大学で、しかも大学院まで進学し、その間、ろくにアルバイトもせずにヨットの外洋レースに熱中するという青春時代を過ごしました。

そして、入隊したのですが、果たして、経済的に厳しい家庭の子供だったのでしょうか。

ある時、防衛医大出身の医官と知り合いました。彼は妹と弟がいて、それぞれ、慶應大医学部、東大医学部に通っていました。

彼曰く、「うちは貧乏なので、三人を医学部に通わすことはできない。だから、自分が防衛医大に入って、学生手当を仕送りして、妹と弟の学費の足しにした」と言っていました。

これも、古賀議員の言う、経済的に厳しい家庭というのとはちょっと違うように思います。

確かに、筆者の先輩の海上自衛官には、弟や妹を大学に進学させるために、自分は防衛大に入り、学生手当を仕送りしていたという人が少なからずいました。

しかし、その人たちはしっかりと高校を卒業して、大学進学を視野に入れていたのです。

筆者の頃ですら、大学進学率は全国平均では十人に一人でした。それら先輩たちは、筆者の時よりも大学進学率が低かったころに、弟や妹の進学を考えていたのです。、

海上自衛隊に入隊してくる若者は、経済的に厳しいから入隊してくるのではなく、船に乗りたいとか、飛行機に乗りたい、あるいは制服が恰好いいという理由が大きく、それに合わせて社会貢献やこの国安全保障に役立つことができればなおいい、という意識で入隊してくる若者が多数なのではないかと思っています。

筆者自身がそうでした。幼い頃から父の姿を見ていました。台風になるといなくなる、官舎地区のお父さんたちは、船や隊に帰ってしまうのです。

筆者はキューバ事件の時に、護衛艦の艦長だった父が、長い訓練航海から戻り、家でくつろいでビールを飲もうとしている時に、自衛隊のジープがやってきて、急遽制服に着替えて出て行ったのを覚えています。父は何も言いませんでしたが、母は「戦争になるかもしれない」と不安そうでした。

そういう家庭で育ち、経済的には決して恵まれない公務員であることは承知していましたが、船に乗れて、この国の安全保障に貢献することができるなら、これ以外にない、と考えて入隊しました(結果的には船にはあまり乗せてもらえずに、東京の真ん中で役人暮らしばかりさせられることになるとは思っていませんでした)。

これは、筆者の個人的事情ですが、新入隊員の教育を行っていた際にも、経済的に苦しい家庭の子が多いとは思っていませんでした。入隊式にご両親が外車で乗り付けてくるというのは別に珍しくありませんでしたし、京都のホテルでの壮行会でも、堂々たる振る舞いのご両親を多数お見掛けしていました。

余談ですが・・・

ここまでは、弊社コラムの公式見解で、以後は、イージス翁の独断と偏見に満ちたまったく個人的見解です。

皆さんが立憲民主党の日教組出身の議員に何を期待するのか、という話です。

翁は、中学生のとき、贅沢な全寮制の学校にいたことは先に申し上げました。その学校で社会科の授業の際、日教組の教師が正面に張り出した模造紙に書き連ねてあった内容のノートへの転写を要求したことがありました。生徒たちは、一生懸命にノートを取っていました。中学生だった筆者も同様です。

そこへその教師が回ってきて、筆者の耳元で囁いたのです。

「君のお父さんの仕事は憲法違反の仕事なんだよ」

授業の内容と、自衛隊は何も関係がありませんでしたし、わざわざ、筆者のところに来て囁いていく内容でもありません。

このメールマガジンは、筆者の中学・高校の同級生で、文字通り同じ釜の飯を食った仲間も読んでいますが、その同級生たちには分かるかと思いますが、背が高い眼鏡をかけた「地理」の教師でした。

当時の日教組の教員にはそんな奴は珍しくなくいました。

翁は、そういう経験を持っていますので、日教組出身の議員が何を言おうと別に驚きませんし、蚊が飛んでいて、うるさいな程度にしか認識していません。

どうせ、支持率が2%に達しない政党です。そんなところの議員が何を言おうと放っておけばいいかと考えます。

弊社も、その議員の発言を巡って2回もコラムを出さざるを得なくなりましたが、弊社がその回数を費やしたのは、その議員を断罪したかったからではなく、その議員に辞職や党に罷免を要求した元自衛官について、もう少し戦略的に物事を見て欲しいと考えたからです。

それが、イージス翁の偽らざる本音です。