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専門コラム「指揮官の決断」

第305回 

ピークアウトしているのが分からないかな?

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「先が見えない第7波」???

もう新型コロナの話題を取り上げるのが馬鹿々々しく、議論する気力も失せかけているので、当コラムでは取り上げることを止めようと思っていましたが、相変わらずメディアの煽り方が酷く、せっかく夏休みを楽しく過ごそうとしている子供たちや若い人たちが可哀そうなので、一言だけ申し上げておこうと決断しました。

テレビでは「先が見えない第7波」という表現が使われていますが、弊社の計算ではすでにピークアウトしています。

当コラムではうんざりするほど指摘してきましたが、テレビに出てくる感染症の専門家たちは、統計学の初歩すら理解していないため、このピークアウトの意味を理解できません。そして、テレビや新聞などのメディアに至っては、英語も算数も理解できない社会部の記者たちが番組や記事を作っているので、当然のことながらピークアウトの意味が理解できません。

このため、数字上では明らかにピークアウトしているにもかかわらず、「先が見えない」という報道になってしまいます。

今回はこのことについて、若干の説明をしておきます。

すでにピークアウトしているよ

厳密な議論をすれば、7月26日がピークアウトの日でした。弊社では7月27日及び28日のデータを見て異変に気付き、29日、30日と観察して、26日にピークアウトしたと判断しました。

確かに7月19日から7月26日までのPCR検査陽性判定者数の増加は相当なものでした。

筆者の周りでも、ついに一緒に仕事をしている仲間が発熱を訴え、検査の結果陽性となり、自宅療養を続けています。実数がかなり大きくなっていますから、身近にも新型コロナ患者が目立つようにはなってきています。

しかし、全国レベルで見ると、7月26日に1週間の移動平均の増加率が頭打ちとなったことが分かりました。増加率がマイナスになったのではないため、実数は依然として増加していますが、統計学的にはピークアウトです。

弊社では何度もお伝えしているように陽性判定者数の移動平均の増加率を見ています。ところが、実数しか見ない専門家たちやメディアは8月3日は24万9805人の陽性判定者数で、過去最大などとはしゃいでいます。

しかし、入院治療を要する患者数が7月27日をピークとして移動平均の増加が止まり、7月31日には減少を始めていることは報道しません。しかも、新規退院・療養解除者数が7月7日以降、連日増加の一路を辿っていることにも言及がありません。毎日入院する患者が減って、一方で退院する患者は増え続けているのです。

病床がひっ迫しているはずはありません。危機意識を煽りたいメディアが混んでいる病院だけしか取材しないのです。

また、このような現状であるが為、医師会や病院会は病床を増やすことに積極的ではないのです。なぜなら、コロナ専用病床を作ると、他の患者を入れることが出来なくなるのに、実際には空きベッドが多数生じてしまい、経営に悪影響を及ぼすからです。しかし、「大変だ、大変だ。」と言い続けないと、コロナ専用病床を作るための補助金が出なくなってしまうので医師会が騒いでいるだけでしょう。

実態はと言うと、8月3日現在、コロナ専用病でECMOを装着している患者は全国で1乃至2名、同じく人工呼吸器を装着しているコロナ患者は全国で57乃至60名に過ぎません。

実効再生産数も7月18日の1.23をピークに8月2日は1.04まで下がっています。

やっと政府も理解できた

政府はここに至ってようやく、症状のない人は検査のために受診に行くことを控えるように言い始めました。

また、症状が軽い場合は自宅で療養することを勧めています。これはオミクロン株が重篤化する危険性が低いことから方針を変えたと言われていますが、弊社では2年前からその主張を繰り返しています。

その根拠は、PCR検査陽性判定と感染が別物だからです。感染は体内で寄生と増殖が始った状況を言いますが、PCR検査ではウイルスのかけらでも検出されれば陽性となります。

2年前はテレビでは一刻も早く国民全員を検査する態勢を作るべきとの議論が盛んに行われていましたが、当コラムではある程度感染している可能性の高い集団に対して行う検査ならともかく、国民全員などという対象に対して検査をすると、1111人に1人しか本当のコロナ患者として正しく判定できないということを条件付き確率の問題として説明しています。

この結果、本当に治療が必要な1人のために、1110人の健康な人までも入院隔離されなければならなくなるのです。

発熱などの症状が具体的に現れている人に対して検査を行うと、その精度は飛躍的に高くなりますから、病床の逼迫もかなり抑えることが出来るようになります。

つまり、2年前からそのようにしていれば、病床のひっ迫で騒ぐこともなく、経済を大きく止めることもなかったはずです。

この間、子供たちは友達と遊ぶことが出来ず、大学生たちはキャンパスライフを謳歌することもできず、施設では多くのお年寄りが家族が面会することなく亡くなっていきました。 

ひとえに、コロナを煽ったメディアと、まともな説明ができない感染症専門家たちの責任です。