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専門コラム「指揮官の決断」

第413回 

経済の基礎知識

カテゴリ:

専門性について

弊社では、専門コラムとメールマガジンの二種類をある程度定期的に発簡しています。

メールマガジンは、本来は、知っていても知らなくてもどうでもいいことを中心に気楽に読んでいただくためのものを目指しています。

一方の専門コラムでは、「専門」と名打っている手前、いい加減なことは書けないので、危機管理の側面から、社会に起きた様々な事象について語っています。

これは、結構骨の折れる仕事で、できる限りのファクトチェックを行い、専門外の領域については、基本的には触れず、触れざるを得ない場合には、極力書物を調べたり、専門家に話をしてもらったりしております。

ただ、この「専門性」については、弊社は独自の考え方を持っており、危機管理という幅広い専門性を要求される分野を扱っている性格上、自分たちの専門的な知識・経験だけでは語ることのできない事象については、自分たちのフィールドから見るとどう見えるかという議論をしてきました。

コロナ禍がその典型でしたが、医学の専門的知識・経験を持たない弊社にとっても、この事象は社会全体を危機に陥れた無視できない事案でしたので、数理社会学の観点からこの問題に言及してきました。

それだけでも、いろいろなことに論究できました。テレビに出てくる感染症の専門家が致死率さえまともに計算できないことや、病床のひっ迫が嘘であることも看破していましたし、GoToトラベルを巡る当時の日本医師会長の発言が、某通信社が論文を読み誤った記事を各メディアがコピー&ペーストした結果であることも指摘しました。

また、船舶や航空機の運航についても、弊社は船会社でも航空会社でもありませんが、資格を持っていたり、運航経験があったりしますので、それなりに言及しています。

弊社が得意とするのは、統計解析や数理分析であり、これは大学院で受けた訓練が役に立っています。

ただ、問題は、それら専門性のある議論をすると、専門の異なる読者の方々にとっては読みにくいコラムになってしまうことです。

そこで、多くの方は、メールマガジンの方は楽しんで読んでいただけるのに、専門コラムに関してはあまり熱を入れて読んで頂けないという事態が起こります。弊社は、専門コラムを読んでいただくためにメールマガジンを配信しているので、これでは逆効果となってしまいます。

経済論は難しい?

特に、最近の日本が置かれている状況に鑑み、日本経済に関して論及すると、経済論は難しくて分からない、というメールを頂くことが多くなりました。

しかし、当コラムは経済を専門とするものではないので、それほど難しい経済論を掲げているわけではありません。それでも経済に関する言及が難解であるとお考えの方がいらっしゃるという現実を弊社でどうとらえるかが問題となりました。

弊社の掲げる経済に関する議論は、高度な経済学的知識なしに理解できるはずのレベルですが、このテーマが主としてマクロ経済に関するものであることから、日常生活にはあまり関係がないので、理解しずらいとお感じなる方が多いのだろうと考えています。一般の社会生活を送っていると、マクロよりもミクロの方が身近なはずですからね。

だからこそ、巷にはびこる出鱈目な経済論に振り回される方が多く、政治家のほとんどが財務省の言うなりに動くという結末を迎えてしますのだろうと思われます。

池上彰氏のような、一見分かりやすい説明に、素人が簡単に騙されてしまうのも無理はありません。

しかし、それではこの国が危機に追い込まれている原因が理解できません。

マクロ経済の基礎を前提として議論を進めなければ、このコラムにおいて、日本の政策的な問題点などに論究できないのです。

このコラムで経済について述べるのは、筋違いではないかと考えました。しかし、この問題を避けて通ると、専門コラムの議論ができなくなる恐れも感じていました。

ただでさえ、専門コラムで経済の問題を取り上げると、「お前の経済論は分かりにくい。」というご批判を浴びます。しかし、これを分かりやすく説明するというのは大変なことで、大学の経済学の入門的講義レベルの話をしなければならなくなります。

弊社は経済分析を専門としているわけではありませんので、専門コラムで経済学の講義を展開するわけにもいきません。

当コラムの経済に関わる説明が分かりにくいのは、主として筆者の説明能力の不足によるものと反省していますが、かなり分かりやすく説明したつもりでも、「お前の経済論は、分かりにくい。」というご批判を頂くことがあります。

筆者は一応経済学部を卒業して、経済学研究科を修了したことになっておりますが、専門は組織論・意思決定論であり、経済学は学部の時に講義を聴いた程度にとどまっています。

したがって、高度に専門的な話をしているつもりはないのですが、それでもご批判を免れていません。

しかし、「経済学」という学問自体が、筆者に言わせれば、何の役にも立たず、嘘ばかり並べたて、それをいかにも「科学的」であるかのように見せかけることに汲々としてきたものであり、本来、分かりにくいものかもしれません。

先日も、政府要職にある国会議員の朝食勉強会に参加してきたところ、予算書の見方も理解されていなかったのに呆れ果てて帰ってきました。

日銀の利上げで、歳出の国債の利払い分が増えるのは要注意だと言うのです。

日銀が利上げしたのは、政策金利であり、国債の金利ではありません。長期国債の金利は固定金利ですから、政策金利の利上げの影響を受けません。

つまり、彼は政府要人でありながら、予算書に何が書いてあるのかを理解していないということです。

政府要人ですら、この程度の認識ですから、多くの方が迷われるのも無理はありません。

国会議員の多くは、この国の経済の実態を理解しておらず、財務省の説明を鵜呑みにしています。財務省に盾突くと、様々な資料を出してもらえなかったり、答弁資料を作ってもらえなくなるので、財務省の言いなりなのです。

財務省の説明すら受けていない私たちが理解できるはずはありません。(説明を受けても嘘ばかりですが。)

とは言え、そうあきらめてしまっては、この国をここ数十年間悩ませ続けている経済的危機について一切の言及ができなくなります。

それではマクロ経済の入門的説明をしましょうか

そこで、いろいろと考えましたが、今後、弊社のコラムやメールマガジンを読むのに必要なレベルの経済の説明だけはしていこうかと考えました。

ただし、経済学は弊社にとっては専門外ですので、学問的な議論には立ち入ることはありません。あくまでも、新聞を読んだり、テレビを観たりする際に、様々な事象を自分なりに判断するための指針となる程度の説明に止めていきます。

また、マクロ経済の入門書を書こうとしているものでもないので、体系的に綴っていくつもりもありません。なるべく分かりやすく、基礎の基礎から、一話完結で特定のトピックについて語っていくつもりです。

何年か経って、それらを集大成して編集するとマクロ経済学の入門書になるかもしませんが、当面はそれを考えていません。

また、経済問題をメインに語っていくつもりもありませんので、コラム数編に一度程度の割合で掲載されるはずです。(専門外のことについて、コラムを執筆するのは結構大変ですし、その程度のマクロ経済なら常識だよとおっしゃる方も大勢いらっしゃいますからね。)

どうか気楽にお読みいただき、マクロ経済の常識を抑えて頂き、この国に襲い掛かろうとしている危機についての認識を深めて頂きたいと願っています。