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専門コラム「指揮官の決断」

第436回 

わが国の歴史的国難

カテゴリ:危機管理

鬱になりかけています

本当に鬱になりそうな思いをしています。

生理的に政治家が嫌いな筆者が、危機管理の専門コラムなどをやっているため、どうしてもこの国、最大の国難に対してコメントしなければならない仕儀に追い込まれているからです。

参議院選挙

参議院選挙が公示されました。

夏休みに入って最初の三連休の真ん中が投票日です。

投票率をいかに下げるかがこの政権の主目的でしょう。

若年層が選挙に行くと政権与党にとって打撃になるという読みでしょう。

この国の政権トップが参議院選の公約として2040年にはGDP1000兆円、国民の平均所得を5割増しにすると発表しました。

まともに電卓を扱うことのできる人間なら、この公約がいかに人を馬鹿にした出鱈目な数字なのか、すぐに分かります。

15年かけて、平均所得を5割しかアップさせないつもりなんです。計算すれば何%なのか簡単に出てきますが、馬鹿々々しくてこいつの言うことを計算で確かめる気にはなりません。

簡単に暗算すると3%の成長にはならないはずです。つまり、それ以上の成長をさせるつもりはないということです。

最近発表になった過去1年の名目インフレ率が3.6でした。それよりも低い目標を掲げるということは、財政的には何もしない、と宣言したのと同じです。

この首相はかつて銀行員だったそうですが、筆者の知る限り、大学の同期や後輩で銀行に行った人たちは皆優秀です。こいつのような○×はいません。

本来優秀な人が、政治家になると○×になるメカニズムについては、筆者の仮説を前に述べていますので、暇を持て余している方はそちらをお読みください。

○×になる方法が書かれていますので、真剣に読む必要はありません。どんなに優秀な人でも、立候補した瞬間に○×になってしまいます。

前に首相が国会で答弁した、わが国の財政はギリシャよりもひどいという説も財務省の役人から入れ知恵されただけで、彼自信の考えではないでしょうが、今回の公約も彼の計算ではありません。内閣府が四半期に一度くらいの割で計算する中期財政試算に書いてある通りです。この首相は、こと経済に関する限り、自分の頭で考えることとか計算することがまったくできない人のようです。多分、小遣い帳も付けられないんでしょう。簡単な計算ができませんからね。そういうのを我々は学生時代に○×と呼んでいました。ただ、現在、ネット上でそのような発言をするのは憚られますからあえて伏字にしておきます。よろしければ、皆様はこのコラムで○×とあったら、特定の皆様お好きな単語に読み替えて頂いて結構です。筆者のPCでは辞書登録してあり、ある単語を入力すると○×と出力されます。(やりにくい世の中になったもんだと思っています。)

そもそも2040年の公約を作るということ自体が信じられません。15年先の将来まで、この党が政権を担当したら、所得が5割増しどころか、この国が存在しているかどうかも分かりません。中国の属国になっているでしょう。

この男は数字が絡む経済については小学生並みの頭しか持ち合わせませんが(中学生なら複利計算ができますからね。)、いわゆるポリティシャンとしての感覚は持っているのでしょう。15年後の公約なら、近々に実現しなくても公約違反にならないという計算でしょう。

外交問題

ローマ教皇の葬儀に参列しなかったことを筆者の母校の先輩たちは非難されます。

前教皇は母校を創立したイエズス会出身の教皇であり、来日されたときに、母校に来られて講演で学生たちに話しかけられた方だったこともあり、この国から首相が参列しなかったことを非難する先輩が多いのです。

たしかに、現政権はローマ教皇の葬儀というものがどういう位置づけにあるのかを理解していないでしょう。アメリカはトランプ大統領だけでなくバイデン前大統領も参列し、イギリスはウィリアム皇太子だけでなくスターマー首相が参列、フランスはマクロン大統領、ドイツ、イタリアはそれぞれ大統領と首相、スペインは国王、ウクライナは大統領が参列しています。国連もEUもトップが参列しました。その中で、トランプ氏とゼレンスキー氏がバチカンの屋外の石畳の上で、二人で額を寄せ合って何かをしゃべっているところを後ろから写した写真はインパクトがありました。あの喧嘩別れの後ですからね。つまり、誕生間もない内閣にとっては儀礼上も政治上も非常に貴重なチャンスだったはずです。

筆者の母校の先輩たちはその貴重な機会を逸するとはなんというセンスの無さだと呆れる人が多いようです。

しかし、筆者はそうは思いません。あの男が出て行って、世界中に恥を晒すよりも能無しで大した発言もできない外務大臣くらいを送り込んでおいたことの方がはるかに良かったかと思います。あの男を出すのは、バチカンに大変失礼なことです。

バチカンに失礼だけでなく、世界中に日本の恥恥となるような醜態を晒していただろうからです。

ただし、NATOの指導者会議に行かなかったことは許されません。この会議ではインド、オーストラリア、米、日本によるインド太平洋の安全保障がNATOの極東へのコミットメントの一環として議論されるはずだったのですが、この国の首相はこれに参加しませんでした。

これは安倍元首相のイニシアティブによるものでしたので、それに乗るのが嫌なのでしょう。

この男は、アジア版NATOという滑稽な構想を標榜していましたが、最近は一切触れません。

いずれも、裏にあるのは対中配慮でしょう。トランプ大統領と会うのも怖いのでしょう。NATO指導者会議に出ない理由を記者に問われて、予定が合わないのではなく、「韓国のイ大統領も出席されない。」という馬鹿々々しい理由を挙げる始末です。

踏み絵を踏めない政権

経済再生担当大臣が8回訪米しても交渉が妥結しません。

よく聞くと米財務長官のアポも取らずに押しかけて行って会ってもらえず、電話での会談をして戻ってきたりしているようです。

電話なら、わざわざ米国本土へ行かなくても日本からの方が便利でしょう。

子供の使いの方がまだましですよね。

現政権はこの関税問題が踏み絵だということを理解していません。

これはトランプ大統領が、中国側につくのか米国側につくのかをはっきりと意思表示をしろと迫っているのであり、経済問題ではありません。

日本はトランプ氏が大統領選に勝利した後、大量の国会議員の訪中団を送り出し、信を問う衆議院選挙で連立与党の代表すら落選させる事態を引き起こしても、国民の信認を得ていないということが認識できず、本来責任をとるはずの幹事長が訪中し、「和歌山のパンダに代わるパンダを至急送ってね。」というお願いをして、返ってきた返事が、尖閣上空を飛んだ日本の民間の自家用機に海警のヘリが上がってきて威嚇を加えたのみならず、在中国の日本大使館に対して、中国の領空を犯したのはけしからんという叱責を加える始末です。

にもかかわらず、外務大臣は日本を訪れる中国人の観光客向けのビザの発給要件などを緩和する方針を打ち出すなど、中国に媚を売る政策ばかり取っています。

その日本に腹を立てているのがトランプ大統領です。

日本はフェンタニルという合成麻薬が中国から米国に向けて大量に輸出されていることを知っています。

しかも、中国人が当初那覇で起業し、現在は本拠地を名古屋に移した会社がこれを取り扱っていることも知っています。

しかし、これに対して手を打たないし、新聞も報道しません。

政権、メディアともに中国への配慮をしているのでしょう。

フェンタニルは日本国内では覚醒剤ほどの影響をまだ与えていないので、私たちはあまり関心がありませんが、米国では大きな社会問題です。

2023年にフェンタニルにより死亡した米国人は11万人になりました。

これは、日本全体のコロナ禍による死者数を上まわる数字を1年で出していることになります。

中国には5億台を超える監視カメラがあり、港湾の監視は厳重ですから、中国がやる気になれば、一挙にこの犯罪を抑え込むことが出来ますが、そうしないのは国策だからでしょう。

中国に忖度する政権やメディアはそれを取り上げません。

この対策がトランプの置いた踏み絵であることは明白です。中国の属国になったカンボジアに対しては3500%の関税を言い渡していることからも分かります。

100円のモノを輸入する際に、3万5千円の税金をかけると言っているのです。

つまり、中国に媚びず、米国を中心とする対中包囲網に入らない限り、この関税問題は決着しないでしょう。

ところが、中国に対する忖度だけで政治の甘い汁を吸い続けている首脳陣しかいない現政権党には、それができません。

多分、いろいろな面で弱みを握られているのでしょう。

彼らにとっては、この国の将来などどうでもよく、自分たちの地位の保全が最大の関心事ですから、関税問題が妥結する見込みはあまりないでしょう。

責任は自分たちで

参議院選挙で非改選議員数を入れて与党が半数割れするという事態になるということは、参議院の性格を考えるとあまりないのかもしれません。まして、投票日は巧妙に投票率が最低になる日が選ばれています。

たとえ与党が大敗してもこの政権は引責総辞職はしないでしょうから、しばらくこの事態が続くでしょう。衆院選で信を問うと言って天皇に衆議院の解散を願い出て、歴史的大敗を喫して与党半数割れになっても総辞職せず、都議選で歴史的大敗を喫しても責任の自覚がないようです。

多分、今月の参院選で大敗しても奴は居残るのでしょう。この国の将来とか、国民とかは彼の関心の外にあり、単に権力の座に座っていたいだけの屑です。

大敗すると、政権に色気を出している最大野党との連立が画策されるだけでしょう。

この最大野党を現に率いているが、あの東日本大震災に際して消費増税をやってのけた男です。また、最高顧問は「消費減税という人気取りの無責任な政策を標榜する者はこの政党から出ていけ。」と豪語した男です。

この二大〇×に率いられた党との連立など、ろくなことが起きるはずはありません。

いずれにせよ、この腐った政権を誕生させた私たちに責任があります。

この歴史的国難を作ったのは、わが国の民主制度であり、私たち国民の責任なのです。

つけは払わなければなりません。

今回テーマに掲げた画像に不快感を覚えた方も多いかと存じます。腐敗した肉にハエがたかり、ウジ虫が湧いている状況です。

もっとすさまじい情景を創り出そうしたのですが、さすがの画像生成AIも気持ち悪がって作ってくれませんでした。

気分を悪くされた方々にはお詫び申し上げます。