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専門コラム「指揮官の決断」

第453回 

2026年新年に寄せて

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新春のお慶びを申し上げます

ようやく日本にも夜明けがやってきたようです。

日本の憲政史上最低のトップにより、底なしの暗闇に突入しつつあった私たちの国が、新しい指導者を得て、水平線上に灯りが見えてきました。

暗闇が長く続きましたね

1997年以降、GDPの成長が止まり、ドイツ、インドに抜かれて世界5位となってしまいました。

この間、日本のGDPの伸び率はG7諸国において最低であり、マクロ経済を少しでも齧ったことのある者なら、その原因が緊縮財政にあることは明白なのですが、歴代政権はそれが理解できず、省益のみを追求する財務省官僚の言いなりになって緊縮財政を続けてきました。

国会議員たちの多くは、歳入で歳出を賄うべきものと考えるという低能児がほとんどですから、国防には 、世界の安全保障状況に関係なく 対 GDP1%という何の根拠のない枠をはめ込み、公共事業を箱から人へという美しい言葉によって抑え込み、膨らみ続ける社会保障費をねん出するために消費税をアップし、不足分を国債で賄い、それを池上彰の扇動によって「国の借金」と位置付けるという過ちを犯してきました。その結果、 G7最低の経済成長率となってしまいました。

昨年はドイツが経済政策を誤って財政危機に見舞われていますのでG7最低からは脱するのかもしれませんが、いずれにせよ、この30年間の暗闇は、ずる賢い財務省と〇✕な自民党・民主党が作ったものです。

その自民党が昨年、新たな指導者を得て、「緊縮財政」から「責任ある積極財政」に変わり、令和7年度予算は前政権時に編成されたものであるのでどうにもなりませんが、次の予算からその真価を発揮してくるでしょう。

八潮市で生じた道路の陥没事故は記憶に新しいですが、民主党が行った事業仕分けで、公共事業は小さければ小さいほどいいとされ、その結果社会的インフラの維持・整備に予算が回らず、日本中の道路、橋、トンネルなどはボロボロであり、いつ八潮のような事故が起きても不思議ではありません。

民主党の事業仕分けの影響は大きく、公共事業を発注しようにも、各自治体に仕様書を書ける職員がほとんどおらず、受ける事業者もスタッフを確保できないという事態に追い込まれています。つまり、新政権によって予算が付いても、事業が発注できない可能性があるということです。

しかし、この「責任ある積極財政」が長続きすれば、次第に状況は改善していくでしょう。一方で、政権が積極的な財政政策を取ろうとしているときに、日銀が利上げに踏み切りました。

アクセルを踏んでいるときに、反対の足がブレーキをかけるようなもので、この時期に利上げに踏み切る理由が筆者には理解できません。

どうも、日銀総裁以下の面々は、この日本がインフレ時代に突入していると見ているようです。日銀総裁は東京大学の経済学部教授だったはずですが、経済学は修士号しか持っていない筆者には、総裁の考えていることが理解できません。

筆者の母校のマクロ経済学の講義では、この事態をインフレとは言いません。インフレーションとは、需要が供給を上回って、結果的に価格が上昇していく状況を指していますが、 現状がそうではないことは明らかです。政治家は物価の上昇が続くことをインフレだと思い込んでいるようで、コストプッシュインフレなどと呼びますが、それは社会が目標とする健全なインフレーションではありません。健全な経済状況は2%前後のインフレーションが続く状態ですが、コストプッシュで2%が続いても、健全な経済状況ではないので、利上げするのは間違いです。

経済学部の教授だった人がその程度のことを理解できないはずはないので、なにか別の政治的な理由があるのでしょう。

いずれにせよ、来年度予算により、この国の経済が新たな方向に舵を取るでしょうから、最悪の事態は脱したものと思われ、皆様に心から「あけましておめでとうございます。」と申し上げることができるようになりました。

昨年の年始には、稀にも見ることのない恥知らずな指導者がこの国をどうやって亡ぼすつもりなんだろうと暗澹たる気持ちだったことを想うと、ずいぶん光明が見えてきたなと思いがします。

前首相は防衛庁長官であったことがありますが、当時を知る自衛官や元自衛官は、多分一人残らず彼が大嫌いです。特に筆者のように海上自衛隊にいた者は、三自衛隊のうちで最も嫌っているでしょう。そのような者は軍隊のトップになってはいけません。後ろから撃たれるからです。

最近話をしたある陸上自衛隊の部隊指揮官が、酔った勢いもあったかもしれませんが、「首相が代わって、自分も心置きなく部隊を率いて戦場に出ることができる。これまでは、この最高指揮官の命令で死んでこい、とはとても言えなかった。」としんみりと語ったのが忘れられません。

新しい気持ちで再スタートです

新しい希望の持てる年になったのを機に、当コラムも本来の危機管理専門コラムに戻ろうと考えています。今後の政治には希望が持てるかもしれませんが、南海トラフや富士山、千島海溝など大規模自然災害の恐れは消えておらず、中国との関係もきな臭さを増しています。より具体的な危機管理についての認識を深める必要が高くなっていると感じています。

危機管理論を語るに際して、コロナ禍におけるメディアや政府の対応があまりにも出鱈目であったため、これを看過できず、そちらへの対応を始め、そこへ岸田・石破という出鱈目な政権が続いたために、本来の危機管理に関する議論ができずにおりましたが、新しい年を迎えたことを契機に、本来の危機管理専門コラムに戻すつもりです。

危機管理というものは、抽象的な概念を取り扱うのではなく、切れば血の出る具体的な現実と取り組む分野ですので、とりあえずまだ皆様の記憶にあるはずの、コロナ禍を例にとって、説明をしていくことも予定しています。

このコロナ禍は多くの教訓を残しました。しかし、80年前の戦争の反省については、いまだに語られますが、つい3年前のコロナ禍について、しっかりとした反省が行われている様子はありません。

感染症は大体10年に一度くらいは襲ってきますので、次のためにもしっかりとした対策をたてておくべきと思料しますが、どうもそれが国を挙げて行われている様子もありません。もともと私たちは喉元を過ぎると熱さを話捨てしまう国民性なので、仕方ないのかもしれません。しかし、次は経済の回復期に頭を押さえられるかもしれないし、戦争が起きているかもしれず、あるいは大規模災害の最中かもしれないので、あらかじめできるだけの検討はしておいた方がいいだろうと考えています。

予期せぬ事態への心構えを固めるという作業は、その単一の目的だけでなく、広範囲に応用が効きます。危機管理に臨む覚悟は、対象となる危機によって大きく変わるのではなく、想定外の事態にいかに毅然と対応するかという課題の本質は変わらないのです。

このコラムによって、その想定外の事態への対応という危機管理の本質に少しでも理解を深めていただければと願っています。