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専門コラム「指揮官の決断」

第229回 

ワクチン接種後には多くの高齢者が亡くなる・・・

カテゴリ:危機管理

チューリップの歌の大合唱

テレビのワイドショーやニュースを観ていると、ある童謡を思い出します。

チューリップの歌です。

テレビはPCR検査の陽性判定者を感染者と言い換え、それが過去最多となると大喜びで「最多、最多」と繰り返します。当日が最多記録でない場合には「〇曜日としては最多」とか「今週では最多」とか、とにかくなんとか最多記録にしようと頑張ります。そしてどうしても最多記録ではなくタイ記録でしかないと分かると「過去最高に並びました。」と言い始めます。つまり「並んだ、並んだ」の連呼です。

これを聴いているとチューリップの歌を思い出すのは仕方ないですよね。

緊急事態宣言が再度発令され、陽性判定者(テレビの言う感染)が減ってしまって、ついに「咲いた」とも「並んだ」とも言えないことが分かると急に森会長バッシングに走ります。

テレビが視聴率を稼がねばならないのは当然です。視聴率に対してスポンサーが付くのですから、なによりも視聴率が大切なのは理解すべきです。

しかし、いい番組を作って視聴率を上げる努力をすべきなのに、現在のテレビにはそのような実力はありません。そこで彼らは社会心理学の応用を図ります。つまり不安を煽ったり、政権やその他の誰かを徹底的にバッシングすることにより視聴率を稼ごうとするのです。

不安を煽られるとその不安の原因と見通しを確認したくてテレビにかじりつきますから視聴率を稼げます。また、その結果として自分たちの不安の原因が政治だということになるとそれをバッシングしてくれる番組の視聴率も高くなります。

政権は支持率に左右されるので、その一般視聴者の作り出す空気によって政策が左右されます。その結果、必要のない緊急事態宣言などを発令して経済を痛めつけています。

感染者が減少している理由

現在、テレビの言う感染者、つまりPCR陽性判定者が減少していますが、これは緊急事態宣言の結果多くの飲食店が時短営業した結果ではありません。ましてGoToトラベル事業が中断された結果でもありません。

これは保健所が方針を変えて濃厚接触者を追跡してクラスタを発見するための検査をしなくなった結果、検査件数が大幅に減ったことによるものがかなり大きく、さらに大きいのは1月22日にある通知文書が厚労省から出されたことによります。

当コラムでは日本におけるPCR検査において検体にある温度を与えて培養するプロセスを何度か繰り返すサイクル数であるCt値が45というほとんど科学的には意味のない回数を採用していることに疑問を呈しています。(専門コラム「指揮官の決断」第225回 危機の迎え撃ち方 ワクチン接種でどうなる? https://aegis-cms.co.jp/2260 )WHOですら35以上は無意味であると考えていますし、台湾など感染を抑え込んだと評価されている国は35くらいの値を採用しています。しかし、日本がCt値を45から35に引き下げるのは難しいだろうと考えていました。なぜなら、これは明らかに見かけの感染者数を少なく見せるための改訂だとメディアから非難され、それに役人は耐えられないだろうと考えていたからです。45という値を採用したことの責任問題が生ずるからです。

しかし、厚労省は見事にその作業をやってのけました。それが1月22日に出した文書です。

私はこの文書を今月初旬に見つけて読んでいたのですが、Ct値を変えるという文書だとは気づかずに読んでいました。きわめて巧みにカモフラージュされた文書であり、何故陽性判定者がこの冬の真っ最中に減少するのかを考え、その理由を見つけるのに苦しんだ結果、気が付いたのがこの文書の存在でした。この文書の中で厚労省はCt値を30から35に設定するように求めているのです。

この文書の存在は私の知人の医師も気が付いておらず、メディアでもまず取り上げられていません。医師は検査業務を担当しているわけではないので読んでいなかったのでしょう。しかし、テレビ局はこの文書が厚労省のウェブサイトに掲載されているのを知らなかったか、あるいは読み解く能力が無いのです。何せ「チューリップ」を歌うしかできない程度の幼稚な頭ですからね。

つまり、この国のPCR検査がこれまでCt値45で行われていたので、ほんのちょっとのウイルスの残骸のようなものでも検出されると陽性と判定されていたのが、もう少し厳密な検査が行われ始めていることをメディアは知らないのです。検査数そのものが減少していることと相まって陽性判定される人数が大きく減り始めているのですが、そのからくりをテレビは気が付いていないのでしょう。

要するに緊急事態宣言など関係のない次元で陽性判定者数は激減しているのです。

テレビも政治家も役人も自粛によって困窮する人たちではありませんので、飲食店の経営者たちやそこでアルバイトをしている人々がどのような思いでその宣言を受け止めるのかということを思いやることができません。与党の政治家などには、国民に自粛を要求しておきながら夜のレストランやクラブで飲み歩いている不届き者もいます。

野党の党首に至っては、ゼロコロナを目指すべきなどという感染症の常識からはあり得ない低レベルの議論をこともあろうに国会の代表質問で行っています。この1年のコロナ禍で何も勉強してこなかったのでしょう。

テレビの言う感染者数の減少の理由は上述のような事情を考えなければならないのですが、実際にコロナの蔓延状況はどうなのでしょうか。

重篤化する人数は減少しつつあります。死亡者も2月11日の121人をピークに減少に転じています。つまり、東大先端技術研の児玉龍彦名誉教授が国会で述べたように東京がニューヨークやミラノのようになるというような「目を覆うような」状況にはついにならずにいます。

これはロックダウンなどの極端な手法を使わず、また全員にPCR検査などというワイドショーが繰り返し主張する囲い込みを行わずにきたことにより社会全体が免疫を獲得しつつあるということです。

立憲民主党の枝野代表の言うようなウイルス撲滅はできないことは感染症学上の常識ですので、毎年流行する風邪やインフルエンザのような対応をする必要があり、そのためには社会全体が免疫を獲得し、私たちそれぞれが免疫記憶を体内に持つことが重要です。

政府が目指してきたのがそれで、医療崩壊にならないように緩やかに社会に陽性判定者を増やそうとする戦略です。実際に、コロナ病床で対応に当たっている従事者は大変な思いをしているはずですが、医療崩壊が本格的に生じているということでもありません。

ただ、一部に入院治療が十分に受けられずに亡くなるという悲劇が起きているのは事実ですが、これは地方自治体と医師会の怠慢によるものです。

これは政府の戦略が社会全体に免疫を獲得させるというものであったにもかかわらず、それが中途半端であったことの裏返しです。

しかし、政府の戦略は基本的には効を奏しつつあり、爆発的感染は制御されています。

これは児玉教授やメディアにとっては残念なことかもしれません。

これを要するに緊急事態宣言などは出してはならず、経済のこれ以上の悪化を防がなければなりません。

ワクチン接種で起こるコロナ禍最大の危機とは何か

先にワクチン接種が始まるととんでもない事態になるとお伝えしました。

ワクチン接種後に多くの高齢者が亡くなり、テレビがまた大はしゃぎ始めるだろうということです。

唐突で、あまりにも大雑把な説明でしたので、分かりにくいかと考え、今回はなぜそうなるのかをもう少し丁寧に説明したいと思います。本来は統計学上の議論なのですが、今回は統計学から離れます。また、説明には簡単な微分方程式を使うと便利なのですが、数学的な議論を避けるために、最小単位を日単位ではなく月単位で考えることにより小学生でも分かる計算を用います。

ワクチン接種後に多くの高齢者が亡くなる理由

日本には約3600万人の65歳以上の高齢者がいます。

一方、日本では毎年130万人程度の人が亡くなり、90万人程度が生まれてきます。人口が少なくなっていく理由がこれです。

亡くなる130万人のうち65歳以上の人が占める割合は約90%です。

以後、計算を簡単にするため、数字は大胆に丸めていきます。

簡単な計算をすると毎年亡くなる65歳以上の人数は117万人です。つまり毎月9万7千人の65歳以上の方が亡くなっています。

さて、4月に65歳以上の高齢者に対するワクチン接種が始まります。

この接種の第1回目が半年で終わるとします。先に述べたとおりわが国には高齢者が3600万人いますから、毎月600万人の高齢者が接種を受けることになります。

まず4月に600万人が接種を受けます。高齢者全体の16.7%です。

同じく4月中には9万7千人の高齢者が亡くなります。この人数はワクチンを接種しようとしまいと亡くなる数です。

その9万7千人のうちワクチン接種者は単純に計算すると16.7%ですから1万6千人です。

つまり、ワクチン接種が始まって1か月で、ワクチンを接種した高齢者が1万6千人亡くなるのです。

当然のことながらこの人数はワクチン接種が進めば進むほど増えていきます。なぜなら、3600万人の高齢者へのワクチン接種が着々と進むからです。

半年後高齢者に対する第1回のワクチン接種が終了しますが、その翌月に亡くなる9万7千人の高齢者はすべてワクチン接種者ということになります。

この計算は65歳以上の方が全員ワクチン接種を受けると仮定し、しかも4月から10月まで同じ割合で高齢者が亡くなるという仮定の下での計算ですので、実際にはもうちょっと少なくなるだろうと考えられますが、しかし一方で、半年の間に新たに65歳となって高齢者の仲間入りする人たちが数十万人いることは計算していません。したがって、ここに挙げた数字はそう大きく異なるものではないだろうと考えています。つまり、今年の10月にはワクチン接種後1か月未満の高齢者が9万人程度死亡するということです。

これをテレビが喜ばないはずはありません。この社会は大混乱に陥るかもしれません。

この国のテレビは最初の緊急事態宣言の時に安倍首相が接触を80%減少させて欲しいと国民に要請したら人出の数で80%達成したとかしないとかで騒ぐ程度のオツムしか持ち合わせません。60%程度の減少で接触は80%減少させられることすら計算できない連中です。(専門コラム「指揮官の決断」第195回 何故私たちは正しい情報を得られないのか https://aegis-cms.co.jp/2081 ) ワクチン接種後の高齢者死亡の内訳など理解できるとは到底思えません。今でも彼らはPCR陽性判定者と感染者の違いが理解できないのですから。